企業の人事担当者や管理職の方から、「ハラスメントについてどう対応すればよいのかわからない」といった声を耳にする機会が増えています。
「何を言っていいのか悪いのかわからない」
「気をつかいすぎて部下に話しかけられない」
「面倒な世の中になったものだ」
──こうした戸惑いや不安の声は、決して珍しいものではありません。
ハラスメント研修を実施しても、現場では依然としてコミュニケーションに萎縮が見られ、結果として、現場の対話が減少してしまうケースも少なくないでしょう。
しかし、本当にハラスメントへの配慮は「面倒なこと」なのでしょうか?
ハラスメントに関する相談を受けた際、多くの方が求めているのは、 「これはOK」、「これはNG」といった明確な基準、つまり万能マニュアルです。
しかし残念ながら、ハラスメント予防において、あらゆる状況に当てはまる正解は存在しません。
なぜなら、コミュニケーションは常に文脈に大きく依存するものであり、同じ言葉であっても、関係性や状況、タイミングによって受け取られ方が大きく変わってしまうのです。
例えば一般的には無難とされる「趣味や休日の過ごし方」といった話題であっても、相手が望んでいなければ、不快感を与える可能性があります。
相手がどう受け取るのか想像するのは、たやすいことではありませんが、そのようなことも含めて、信頼関係を育んでいくことが大切です。
つまり、重要なのは「何を話すか」ではなく、
「どのような関係性の中で、どのように伝えるか」 なのです。
ハラスメント予防の本質は、相手との信頼関係にあります。
「関係が構築されてはじめて、コミュニケーションの本当の効果が生まれる」
この原則は、マネジメントにおいても、プライベートな人間関係においても、昔から変わらず大切にされてきたことではないでしょうか?
相手をよく見て、よく聞き、その場にいるふたりが何を共有しているのか、何を共有すべきなのかを考える。
このような姿勢は、ハラスメント予防のためだけでなく、組織における心理的安全性を高めるためにも欠かせません。
ここで重要なのは、「人はそれぞれ異なる認知スタイルを持っている」という理解です。
例えば、ある人は詳細な説明を好む一方で、別の人は要点だけを求めることがあります。
また、判断の際に論理を重視する人もいれば、人間関係への影響を第一に考える人もいます。
性格検査MBTI®のようなフレームワークを活用することで、こうした違いを「問題」ではなく、「多様性」として捉え、相手の認知スタイルを尊重したコミュニケーションが可能になります。
表面的なテクニックや形式的なルールだけでは、真の心理的安全性は実現できません。
相手を尊重し、対等な関係性を築こうとする姿勢が信頼関係の土台となり、その上に安心して意見を交わし合える土壌が育まれるのです。

「ハラスメントに配慮しなければならない世の中は面倒だ」という声もあります。
しかし、別の見方をすれば、これまで見過ごされてきた不適切な言動や、権力の非対称性を利用した関係性が、ようやく問題視されるようになったともいえます。
つまり、世の中が健全な方向へ移行しつつあるのです。
一方的に指示を出して、相手の反応を考慮せずに接することが許された時代から、相互理解と尊重を前提としたコミュニケーションが求められる時代へ。
この変化は、組織や社会が成熟していく過程として、前向きに捉えることができるのではないでしょうか。
ハラスメントへの配慮は、決して「面倒なルール」ではなく、「お互いを尊重し合う」といった人間関係の本質に立ち返るための大事な機会と捉えると見える世界が変わります。
ハラスメント予防に万能なマニュアルはありません。
重要なのは、相手との関係性を丁寧に構築し、自分と相手の認知スタイルを知った上でのコミュニケーションを心がけることです。
まずは、身近なところから、後輩、上司、同僚との関係を見直してみませんか。
お互いが何を共有し、何を大切にしているのかを理解しようとする姿勢があれば、そこには自然と適切なコミュニケーションが生まれます。
Adore la vie(アドレラヴィ)では、MBTI®を活用したコミュニケーショントレーニングを通じて、組織のメンバーがお互いの違いを理解し、尊重し合う文化づくりをサポートしています。
認知スタイルの違いを「対立の原因」ではなく、「対話の糸口」として捉えることで、ハラスメントが生じにくい、心理的安全性の高い組織へと進化することができます。
ハラスメント予防を超えて、心理的安全性の高い組織への進化に挑戦していきませんか?